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今回は本物で。

『働こうとしない人たち』矢幡 洋著(中公新書ラクレ)より抜粋。

 

自殺未遂のカウンセリング。  

カウンセラー「今までに自殺をお考えになったことはありますか?」

クライアント「いいえ、ありません。ただ、もうどうしようもないと思っただけですよ。バカだったんですよ(自殺未遂で病院に担ぎ込まれたのに、自殺企図を否定)」

カウンセラー「あなたが高校1年のときに何かノートを書いたことから、あなたが自殺を考えていたようだ、という印象を受けたという人の話をお聞きしたんですけどね。私の勘違いなのかしら」

クライアント「高1のときにですか?」

カウンセラー「ええと、そうだっけな……」

クライアント「知りませんね。そんな記憶ないですよ」

カウンセラー「高2のときだったのかな……(あっさり否定されてカウンセラーは困っています)」

クライアント「ノートを書いた記憶なんかないですよ」

カウンセラー「いつであろうと、覚えていないというわけね……」

クライアント「はい、覚えていません」

カウンセラー「じゃあ、今までに自殺なんか考えたことはないってことね」

クライアント「えーと、考えたことはあります。でも全然本気じゃなかったです」

相手が「自殺を考えたことはなかったのですね」と言ったとたんに、これまで否定していた自殺企図を一転して認めるというあまのじゃくぶり。とにかく相手のペースに乗せられたくないようです。以下は、紹介されている面接記録の最後の部分です。

カウンセラー「こういった質問を私がしたときにあなたはどうお感じになりました?本当に深刻な問題ですものね。あなたが遺書を書いたこともないし、そんなことを覚えてもいないということは理解できました。あなたはどうお感じになりましたか?」

クライアント「わかりません」

カウンセラー「ご自分がどう感じたかおわかりにならないんですか?」

クライアント「えーと、わかりません。あの。私はただ「そんなもの書かなかったなあ」って感じるだけで……で、あの、先生が、私がそんなものを書いたって話をどこで仕入れたのか、わかりません(「どう感じたのか」という質問に答えようとしません)」

カウンセラー「なるほど、私が勘違いをしていた、それであなたは腹立ちを感じているわけですね」

クライアント「いいえ(相手の指摘をさらりと否定)」

カウンセラー「でも、ここまでのやりとりをあなたはどう思っているんですか?うーん、まさに私が勘違いをしていたというわけですよね」

クライアント「ええと、先生はどこからかそれをお聞きになったはずですよね。私はどこからそんな話が出てきたんだろう、とちょっと意外なんですが(「どう感じたか?」という質問に答えず、「話の出所」という話題にそらしています)」

カウンセラー「うん、えーと、あなたのご家族から聞いた話だと思います」

クライアント「高1のときに、ですかぁ?(「話の出所は?」という話題に自分で持っていったのに、今度は「いつだったか」という話題に逆戻り)」

カウンセラー「高2のときだろうと、いつだろうと、そんなことどっちだっていいでしょ!(とうとうカウンセラーの方がキレてしまいました)」

 

 

 

 

というわけで、俺にはカウンセラーの仕事は無理だ。

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